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糖尿病

糖尿病とは

糖尿病は、なんらかの原因でブドウ糖(血糖)を上手に細胞に取り込めなくなり、血液中のブドウ糖が増えてだぶつき、高血糖となる慢性疾患です。血糖濃度のいつも高い状態が続くと、血管をはじめとする全身の組織に悪い影響が及んできます。
糖尿病は、大きく「1型」と「2型」の2種類に分けられます

2次性糖尿病
1型・2型糖尿病のほかに、「2次性糖尿病」というタイプもあります。2次性糖尿病は、他の病気が要因となって起こってくる糖尿病です。つまり、他に基礎疾患があり、そのせいで糖尿病になってしまうタイプです。基礎疾患にはいろいろなものが知られていますが、内分泌疾患、肝疾患、膵疾患、遺伝子疾患などのほか、こうした疾患の治療に用いる薬物(ステロイド等)による副作用なども原因となります。2次性糖尿病では、糖尿病の治療と並行して基礎疾患を治療する必要があります。基礎疾患が改善してくれば、多くは糖尿病の状態も安定し、血糖コントロールができるようになってきます。

1型糖尿病

インスリン(血液中の糖を組織に取り込ませ、血糖値を下げる働きをしている体内ホルモンの一種)を産生する膵臓の細胞(膵β細胞)がある時から壊れていき、インスリンが分泌されなくなってくる疾患です。若いうちに発症することの多いのが特徴です。
原因は、はっきりとはわかっていませんが、免疫系の異常反応により、自らの細胞が攻撃される「自己免疫」によるものと考えられています。
1型糖尿病では、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極度に低下するか、またはほとんど分泌されなくなるため、血中の糖が異常に増加し、重篤な症状を引き起こしかねない状態になります。

1型糖尿病の治療

1型糖尿病の治療は、インスリンを適切に補充することです。インスリンの補充によって血糖値をコントロールしていけば、発症前と同様の生活を送ることができます。
また現在、インスリン補充以外の治療法としては「膵臓移植」もあります。さらに先進的な医療としては「膵島移植」や「人工膵島」、さらには再生医療や遺伝子治療などの研究も進められています。

2型糖尿病

生活習慣による影響が強く、300万人が治療を受けており強く疑われる人が950万人、予備軍が1100万人合わせて2000万人以上いる日本人に最も多いタイプの糖尿病です。加齢や遺伝的要因のほか、食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレス、妊娠などが要因とされています。なかでも食べ過ぎと運動不足による肥満は、2型糖尿病の最大の引き金と言われます。日本における糖尿病患者さんの95%以上は、この2型糖尿病です。
以下では、糖尿病の大半を占める「2型糖尿病」について説明し、加えて「妊娠糖尿病」についても触れておきます。

糖尿病とは

糖尿病とは、体を動かすエネルギー源であるブドウ糖を細胞がうまく取り込めなくなって、未処理の糖が血液中に溢れてしまう病気です。遺伝と生活環境が関係し1型、2型があります。
健康な人なら、インスリンというホルモンがしっかり働き、血液中のブドウ糖を細胞に送り込んでエネルギー源にしたり、あるいは脂肪やグリコーゲンという物質に変えて蓄えたりします。このインスリンの分泌が足りなくなったり(インスリン分泌不全)、足りていてもうまく細胞に作用しなくなったりした状態(インスリン抵抗性)が糖尿病なのです。糖尿病が進行すると、血糖コントロールが難しくなってきますし、合併症も来たしやすくなりますので、早期に発見し、早期に治療を始めることが大切です。

糖尿病の検査

糖尿病の診断にあたっては、血液検査や症状、臨床所見、家族歴などを参考にして、医師が総合的に判断します。
また、糖尿病は初期のうちは自覚症状がほとんどありませんので、患者さんの病状を把握するためには血糖やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値を定期的に検査していく必要があります。

HbA1cとは
血糖値が高くなると、ブドウ糖が赤血球中のヘモグロビン(Hb)と結合します。これがHbA1cと呼ばれるもので、血糖値が高ければ高いほど、この値も高くなります。ヘモグロビンの寿命が約4ヶ月であるため、HbA1cは過去1~2ヶ月における血糖の平均的な状態を示すと考えられています。HbA1c6.5%以上だと糖尿病と判断します。HbA1c値は糖尿病治療において最も大切な管理指標となっており、合併症の進行との関連性も深く、7.0%未満(国際標準値)が一応のコントロールの目安となります(※個々の患者さんの具体的な数値目標は、年齢や罹病期間、臓器障害の有無などによって異なってきますので、主治医にご確認ください)。
なお、当院ではHbA1c迅速分析装置を導入しており、短時間で正確にHbA1c値を測定することができます。

糖尿病の治療

糖尿病は現在のところ完治させることはできませんので、一生つき合っていく必要があります。しかし、悲観的になることはありません。糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、それと同時に体重や血圧、血清脂質も良好な状態に保てば、糖尿病による合併症、すなわち糖尿病性細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)や大血管障害(冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)を起こしにくくします。そして、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、および健康な人と変わらない寿命できるようになるのです。
そして血糖値を正常に保つ上で重要になるのが、継続的な「血糖コントロール」です。医師の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を行います。これだけで正常値になる患者さんもいらっしゃいます。糖尿病が進行したケースや、食事・運動療法だけでは血糖値がうまく下がらなかったりするような場合には、内服薬による治療やインスリン療法を行うことになります。

インスリン療法とは
注射によりインスリンを補って、健常な人の血中インスリンの働きをできるだけ忠実に再現する治療法です。昨今、良好な血糖コントロールを保ち、合併症を防ぐために、また自らの膵臓を守るために、糖尿病治療の比較的早い段階から始めるケースが増えています。

こんな症状は受診をお勧めします

  • 健診等で「血糖値の異常」を指摘された
  • このごろ目立って太ってきた
  • よく食べているのに痩せる
  • ひどく喉が渇く
  • 尿の回数が多く、量も多い
  • 尿の臭いが気になる
  • 下腹部が痒い
  • 手足が痺れる
  • 足がむくむ
  • やけどやけがの痛みを感じない
  • 視力が落ちてきた など

糖尿病の合併症

糖尿病では、きちんと「血糖コントロール」をしないと、血液中に溢れたブドウ糖が全身の血管にダメージを与え、様々な合併症を招くようになってきます。
合併症というのは、ある病気が元になって起こってくるものです。
糖尿病の合併症には、細小血管障害と言われる「糖尿病網膜症」「糖尿病性神経障害」「糖尿病性腎症」や大血管障害(心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈性疾患など)があります。

糖尿病の三大合併症

糖尿病網膜症(目の合併症)

目の内側には、網膜(目から入った光が像を結ぶ場所)があり、光や色を感じる神経細胞が敷きつめられています。高血糖の状態が長い期間にわたって続くと、ここに張り巡らされた細い血管が動脈硬化による損傷を受け、血流が悪くなって栄養と酸素が十分に供給されず、視力が落ちます。進行してしまうと出血や網膜剥離を引き起こしたり、時には失明に至ったりするケースもあります。また、白内障になる人も多いと言われます。
糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が無いことも少なくないので、「まだちゃんと見えているから大丈夫」といった自己判断は禁物です。糖尿病の人は、目に特別な異常を感じなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査などを受ける必要があります。
年間3000人が失明しています。

糖尿病性神経障害

主に足や手の末梢神経が障害されます。その症状の出方は様々で、「手足の痺れ」「やけどや怪我の痛みに気づかない」などです。そのほか胃腸の不調(下痢や便秘)、立ちくらみ、発汗異常、ED(勃起不全)など、多様な症状が現れてきます。

糖尿病性腎症

血液を濾過して尿をつくる腎臓の糸球体(しきゅうたい)という部分の毛細血管が傷害を受けて機能が損なわれ、だんだんと尿がつくれなくなってきます。やがては人工透析と言って、機械で血液の不要な成分を濾過し、人工的に尿をつくらなければならなくなります。約32万人の方が透析を受けています。週に2~3回、定期的に病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響が及んできます。現在、人工透析になる原因の第1位が、この糖尿病性腎症です。この合併症も自覚症状が無いままに進行しますので、定期的に腎機能を検査する必要があります。

大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患など)

糖尿病により血糖値が慢性的に高い状態が続くと、細い血管だけでなく、太い血管もダメージを受けます。動脈硬化を起こした血管は狭くなり、時には詰まってしまうこともあります。血流が悪くなったり、完全に詰まってしまったりすると、様々な病気を引き起こします。

糖尿病の大血管障害の原因

大血管障害は、高血糖・高血圧・脂質異常症(高脂血症)・肥満(特に内臓肥満)の4つの組み合わせで起こりやすくなります。これは「メタボリックシンドローム」の4つの要素と同じです。
その他にも、喫煙・加齢・運動不足・ストレス・不適切な食生活などが動脈硬化の原因となります。
したがって、動脈硬化を予防するためには、糖尿病の治療はもちろんのこと、肥満や高血圧、脂質異常症など、他の生活習慣病も同時に治療していくことが大切です。

糖尿病の大血管障害

心筋梗塞

心臓に酸素や栄養を供給している冠動脈が硬化・狭窄し、冠動脈の内腔が狭くなったところに、血液の小さな塊(血栓)が詰まって血管を塞いでしまうと、酸素が供給されなくなった部位がダメージを受け、心筋梗塞が発症します。通常なら、心筋梗塞が起こると、胸が強く締めつけられるような激しい痛みが生じますが、糖尿病による神経障害のため、痛みを感じないケースもあります(無痛性心筋梗塞)。

脳梗塞

脳の血管が詰まってしまい、詰まった箇所の先に血液が供給されなくなってしまうのが脳梗塞です。そして閉塞を来たした場所に応じて、様々な症状が引き起こされます。半身の麻痺や言葉の障害などが代表的です。

末梢動脈性疾患

足の血管の動脈硬化が進行し、動脈の狭窄や閉塞によって血流が悪化することによって引き起こされます。足やふくらはぎが痛くなって運動ができない、休み休みでないと歩けない(間欠性跛行)などの症状が現れてきます。生活・行動範囲も制限されてきます。さらに症状が進むと、潰瘍や壊疽を起こしてしまい、足を切断しなければならなくなるケースも出てきます。